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映画クレヨンしんちゃん「爆睡!ユメミ―ワールド大突撃」感想・ネタバレ

好きな映画と聞かれると邦画派か洋画派で別れると思うが、最近の私は俄然邦画派。

邦画の面白さが今ひとつ解かってなかったが、映画といえばアクションと定義付け、そのまま洋画のみ鑑賞してたが、最近理解できた邦画の面白さ。日本映画のあの独特の雰囲気の中にある、ほのかな感動がグッとくる。

 

せっかくなので邦画洋画に分けず見た映画でよかったものは感想ブログを付けることにしました。よかったらコメント下さい。

 

 

さて今回みた邦画は「爆睡!ユメミ―ワールド大突撃

 

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『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』予告編

 

 

しんちゃんの映画は全作鑑賞済みで、何回もリピートして見ているのもあれば、一回見た限りのがあったり、当たり外れが多いシリーズだと思う。今回のユメミ―ワールドは脚本劇団ひとり、監督は前作「ロボとーちゃん」でも監督を務めた高橋渉とのことで見る前から期待大!

 

  • あらすじは

誰もが見たい夢を見られるという夢の世界を訪れた野原しんのすけたちカスカベ防衛隊は、風間くんは政治家、マサオくんは漫画家と、それぞれ思い思いの姿になって楽しんでいた。しかし、謎めいた女の子・サキの登場により、人々は恐ろしい悪夢に閉じ込められてしまう。人類の安眠を守るため、しんのすけたちは立ち上がるが……。 (シネマトゥディより)

 

もう本当によかった!クレしん映画の中でも上位ランク入りは確実。

しんちゃん映画はギャグがメインで話が進むのが多いけれど、ギャグばっかり入れたら肝心の話が内容の無いものになるし、その後急にシリアスな展開が入ってきても泣けるはずもなく、総スカンな映画も多々ある中、今回のユメミ―ワールドはその線引きが絶妙で子供も大人も楽しめる映画だと思う。

 

 

まずしんちゃんがすごくイケメン!イケメンの一言で片づけられないほど言動が、行動が、賞賛の嵐。サキちゃん惚れちゃうでしょ。

しんちゃんがカッコいいのは(主人公なので)いつもの事で、毎回しんちゃんが何も意味もなく放った一言やボケた行動が偶然事件の解決に向かったりするのが多いが、今回のしんちゃんは精神年齢がすごく高い!風間くんも言ってたけど中年親父並みの思考を持っている。

一貫して芯が通ったしんちゃんは「サキちゃんはカスカベ防衛隊だからそんなことするはずない」と断言。サキちゃんが実際皆を苦しめてたと知っても責めることもなく「サキちゃんが一人になっちゃうから」とサキちゃんを助けようとする。バクに変身したり、本当にしんちゃんはサキちゃんのヒーローだった。サキちゃんがしんちゃんが変身した時「バクだ!」って喜んでいたけど、探してたバクを見つけた喜びより、しんちゃんが自分のヒーローになってくれたのが一番嬉しかったんじゃないかな。ずっと友達が欲しかったって言っていたサキちゃんは、素直な気持ちが表現できない女の子だったけど、カスカベ防衛隊の皆が離れてく中、しんちゃんだけがずっとサキちゃんの傍にいてくれて、すごくすごく嬉しかったと思う。サキちゃんの夢の中でしんちゃんがバクになれたのも、しんちゃんへの揺るぎない信頼の証だと思う。

 

 

しんちゃんの他にも今回MVPをあげたいのがネネちゃんとみさえ。

双葉幼稚園に通園したサキちゃんは、自分がおバカなせいでママが死んでしまったと思い込み、周りの園児をおバカと連呼。マサオくんを泣かせ孤立する。そんなサキちゃんにネネちゃんが「そこまでいくと嫌いじゃないわ」と一言。序盤からネネちゃんカッコ良すぎる。サキちゃんから離れないと指きりし、最後にその約束を守るため、サキちゃんの悪夢を倒すため戻ってくる。カスカベ防衛隊では紅一点のため(マサオくんにそう思われてなかったけど)、なかなか見ることが出来ないネネちゃんの、女の友情や青春が見れたのもこの映画の見どころだと思う。

 

もう一人のMVPのみさえ。

クレしんの映画では今までひろしの見せ場が多いけど、みさえはあまりパッとせず。(野生大国での見せ場らしき見せ場も微妙だったし)今回はみさえの代表作としてもいい。サキちゃんの悪夢はサキちゃんのママで、ママは自分を恨んでると思い込んでるサキちゃん、その間違いを知ったみさえはサキちゃんに「伝えなきゃいけないことがあるの!」と夢の中へ。悪夢が化した、とにかく明るい安村を無双しながら母親の強さが炸裂。その迫力はしんちゃんが背筋を伸ばして「はいっ!」とまじめに応答してしまうほど。お母さんにとってはみさえが気持ちを代弁してくれて、子供たちにとっては母親の気持ちを知れた深いシーンだと思う。サキちゃんのママの代わりにみさえがサキちゃんをそっと抱きよせて「子供以上に大切なものはない。」みさえによってサキちゃんは悪夢を受け入れる強さを貰える。

 

 

感動的な場面もたくさんあったけど、脚本が劇団ひとりなだけに笑える場面もたくさんあった。大和田獏が出てきたり(実際悪夢を食べようと奮闘したり)お笑い芸人のゲスト声優もスベるのが多いけど今回の安村は面白かった。(確かに履いてない安村なんて悪夢以外のなにものでもない。笑)ちょっと前のアニメにあったようなネタ(元カリスマホストを逐一連呼したり、しんちゃんのドンドンパフパフも好き)など懐かしい場面から最近のネタ(アイドルのネネちゃんがお遊戯会での不祥事(笑)とか)など盛りだくさんで笑えた。その場のギャグとしてだけで終わらないで後々お話に組み込んでくるところもお見事。

 

映画の話では悪者が本当にくだらない理由で大暴走するけど(子供向けだから仕方ないとしても)今回のサキちゃんのパパからは娘を思う気持ちが伝わってきて、サキちゃんのパパの愛も見れる。間違いを問いただそうとしたみさえが怯んでしまうほど「娘(サキちゃん)の為なら何も厭わない」覚悟が伝わってくる。細かい描写の使い方も上手くて、サキちゃんの家は殺風景でご飯も焦げたパンやポテチ。サキちゃんに「うまいか?」と聞くけど会話を続けるわけでもなく、その愛が悲しい程に歪んでサキちゃんに届いてしまっている。反対にしんちゃんの家では家族そろってお好み焼きを食べ、みさえとひろしは子供服を着てまで(みさえはノリノリだったけど)子供の目線に立とうとする。最後にサキちゃんのパパは「私はサキの現実までをも悪夢に変えてしまっていたのか」とやっと気づくことができる。

 

印象的な場面が多くて何度でも見たいと思える映画。最後サキちゃんは引っ越ししてしまったみたいだけど、あのままカスカベ防衛隊にいてほしいほど可愛らしい女の子だったし、悪夢になったサキちゃんのママは子供に見せていいのかと心配してしまう程ホラー。(皆怯むことなく突撃してた中、唯一マサオくんだけが逃げ腰だったけど、あれが普通だと思う。私でもあの悪夢は怖すぎる。)ボーちゃんが隕石になって倒そうとするけど結局負けてしまい、皆で再度サキちゃんを助けに眠るところも素敵。各々がみる夢も個性的で面白くて(シロにいたっては奇形)子供は自由だから強いんだなと思った。

 

 

 

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